学校日記

中学生人権講演会の実施~ジブリで考える人権問題~

公開日
2025/12/15
更新日
2025/12/15

日記

 先週の金曜日(12/12)に、全校生徒対象の人権講演会を実施しました。

 講師としてお世話になったのは坂田良久先生(世界人権問題研究センター:登録研究員)で、京都からお越しいただきました。年間80回程度の講演をされている坂田先生は、長年京都市内で中学校教員をされていたということもあり、中学生相手の講演がいちばん楽しいとおっしゃっていました。

 今回の演題は「ジブリで考える人権―部落差別って何―」。中学生にとってもなじみのあるスタジオジブリのアニメ映画作品を通して社会にある差別を知り、「どのように自分は生きるのか」を問い直すことで、主体者として差別に向き合うことができる…そのような生徒の育成を目指した講演内容でした。とはいうものの、坂田先生は豊かな表情とユーモアあふれる話術で、本校生徒が明るく楽しく人権問題を学ぶことができるようご配慮いただきました。

 まずは「となりのトトロ」を題材にしたお話。ネット上に広まった「トトロ伝説」なるものがあることを取り上げ、それも作品の事実を確かめれば「あり得ないこと」は明確であり、何事も自分自身の目で確かめることが大切だということを示唆いただきました。人権・差別の問題と対峙するときの基本的な姿勢、ものの見方・考え方とも言えます。

 続いて「もののけ姫」を題材にしたお話。登場人物は全て、その時代時代において社会外の存在とされた人たち(差別・排除された立場)であるということから、アイヌ民族・ハンセン病などに対する偏見・差別や部落差別の問題を取り上げ、当時の「habit」(当たり前)のまま今を生きることの過ち、「自分はどう生きるか」を常に自問自答することの大切さを、メッセージとして送ってくださいました。

 三つ目に「崖の上のポニョ」を題材にしたお話。エンディングで5歳の「宗介」が「ぼく、お魚のポニョも、半魚人のポニョも、人間のポニョもみんな好きだよ」と話すシーンを取り上げ、魚や人間という立場の違いにとらわれずに生きる2人の姿こそ、「差別の構造を乗り越えた姿」だと語ってくださいました。続けて「大人はだれも、はじめは子どもであった。しかし、そのことを忘れずにいる大人は少しもいない」とも…。

 そして最後には、「時代によっていろいろな差別があった」ことから、「過去の差別を知り、今も差別にとらわれた人がいることを理解し、未来を提示する力(こそ)人権学習(によって培われる)」と力強く締めくくられました。

 「過去を知って、今を生きる」からこそ明るい未来を拓くことができる…改めてそう感じた今回の人権講演会。90分間の講演でしたが、最後まで坂田先生の話を目で聴き、伝えんとするメッセージを心で受け止めた…であろう名中生。そんな生徒に負けず、教職員(大人)もまた学び続けることで人権感覚を磨き、人権意識を高めることができるよう努めていきたいと思います。